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旧い映画を楽しむ。なでしこの棲家

旧い映画を楽しむ。なでしこの棲家

≪鷹≫



ドロン特集第六夜、
    ≪鷹≫....アラン・ドロン監督Ⅱ作目の作品である。

作品によってはラストで親友に裏切られ、
銃弾に倒れる役が多い。

しかし、この作品は観客がハラハラドキドキしながらも、
彼が我々の納得いくような動きで、そして、ラストも
たまにはこういうのも良いよ。たまには
こんなラストで終わってよーといいたくなる
たっぷりとハードボイルドが楽しめる作品である.

1983年度。
相手役の女性ナタリーには前回の監督作品、
”危険なささやき”で
彼が見出した女優、アンヌ.パリローを。これも私好みでグー・

敵役ルジェリには≪北ホテル≫や、≪旅路の果て≫に出演した
フランソワ.ペリエ。戦後は名脇役として存在感のあるところを
見せている。

ル九セル警部に≪ヘッドライト≫や、
≪ダンケルク≫などで知られる
がっちりとした風貌の男らしい脇役のピエール.モンデイ。
パリのコロンボといった趣のある演技で味がある。

600万フランのダイヤをめぐって、昔の仲間や、ギャング、
警察らが、8年前の宝石商殺しの罪で逮捕され、仮出所してくる
ジャック(ドロン)を追う。
彼に手を貸すものは次々と殺され、
孤独が彼を包み込んだときに
一人の美しい女性が現れ....。

ジャックがダイヤをどこかに隠していると
殺し屋の黒幕は誰なのか?
警察はダイヤに60万フランの懸賞金をかけ、
8年前の宝石商殺しは、実はジャックではなかったと知っている
警察も本当にダイヤの隠し場所をジャックが知っているのか?と
いろんな見えそうで見えないもやもやのなかで美しい女性も
信用できるのか...と波乱万丈のサスペンス・

黒幕は途中でわかるがそれよりもダイヤがどうなるのかが
このサスペンスの面白さです。

暗い影と孤独感はいつものとおりであるが、
少し変わってきていることがありました。
それは後ほど最後に書きましょう。

ストーリー

仮出所したジャックはムショを出たときに思った。
警察も奴ら(?)も俺を忘れてはいない。きっと会いに来ると。

ジャックは仲間、ミニョと確かにシャブリ宝石店に強盗に入った。
シャブリは実は甥のマルクシャブリと撃合いになり、
甥のマルクがシャブリを殺していたのだった。

ルクセル警部はそれを知っていて、ジャックに協力的に
探りを入れてきた。ダイヤはどこだ?

元仲間のミニョには、ある組織のものだといって
殺し屋が三人近づいて来た.
ジャックと分けるはずのダイヤの在り処を聞き出そうと。
しかし、知らないと言い張る彼を最初は泳がせた。
ジャックと遭うのもわかっていて、彼の前で殺すために。
ジャックはミニョに遭った時にすべてを見通した。
だが、目の前で殺されるとは思わなかった。

昔の仲間で、ルジェリを頼って、頼みごとをしに行くが
すでに、足を洗っていて昔のようには出来ないと
やんわりと断られる。しかし、ジャックはそういうときは
引き下がらない。いつものアランのごとく。

恋人、クライスのもとを訪ね、快く迎えてくれた彼女と
再起を計ろうとしていたが、その彼女も殺し屋に彼がちょっと目を
離した隙に殺された。
絶望と孤独感のなか、彼は、シャブリの甥を訪ねるが
彼はアル中となって廃人同様であった。

その妻シャブリ夫人が彼に言い寄り、一文なしの彼は
相手の言うままにマルク、シャブリに金を貸していたということにした。

夫人に身を任した(敢えてこういう言い方を。)
借金は私が払うと言う。
しかし、もらった金も何者かに後ろから頭を殴られ、奪われた。
またもや、一文無し。

再び、ジノ.ルジェリを訪ねた。
が、今度は様子が違う。金は幾らでも用立てる。
ただし、利息はきちんと払ってもらうと。
銃も探してみると...まるで、用意してあったかのように。
女もいるか?一時間1500フラン。

その上、部屋代は取ると..安全な部屋まで用意してくれた。
ダイヤなど探すような危険なマネはよせと親切だ。

だが、夜来た若く美しい女性ドロレスにジャックは
なぜか強く惹かれた。
彼女はジノの囲いオンナだ。
ドロレスはジャックに助けてくれという。
18のときから、彼に囲われ、だまされ、別れてもくれず
このままでは秘密を知りすぎて殺されると...
ジャックに運命を託してきた。泣きすがった。

ジノはシャブリ夫人とも
殺し屋達とも会ってるところをみたし、彼らの関係も知っていることを
全部話してくれた。ジャックは昔の仲間が裏切るかと一度はドロレスの
頬をぶったものの考えてみれば、そういうことなら
今までのいきさつの辻褄が合う。

ジャックはこの女性との運命にかけてみようと決心。
ジノに対抗する闘志も湧いてきた。
ナタリーという本名だそうだ。
しかし、アラン君。女を信用してはイカン....はず・

出所したときから、ジノの手配下の殺し屋からずーっとみ張られてきた
ジャック。その逆手を取ることに。

まず、ジノの用意してくれた部屋を彼女と出ることに。
当然ジノには芝居を。。
ブツの近くに部屋を借りるからと。匂わせ。。

タクシーに乗ったところを二人が追ってきた。
まず、金物屋に寄り、スコップを買う。わざわざやつらに見えるように

廃屋に入り、待ち伏せ、彼らの車で、雑木林へ。
ダイヤが欲しけりゃ、ここを一メートル掘れ!

穴が出来たところですかさず、射殺。
土を被せ、車の持ち主の住所へ...
三人めのヤツだ。
そこで、今度の殺しに関わった人物を聞き出し、頭を整理し、
彼奴もドンと一発!
残るは殺しの親玉と、ジノと、シャブリ夫人だ。

ルクセル警部はどこからともなく現れ、昨日の殺しのアリバイを?
結構愛嬌があって、ジャックには好意的。ダイヤの在り処を・・と・
ジャックはダイヤの在り処など知らんと一貫して通す.

さて、ジノの店の前で、彼を呼び出し、撃ち殺すはずが
先に感ずかれて、敵に捕まってしまう。
待つ間にナタリーにラブ.コールと安全確認の電話を入れていたのが幸い。

捕まった彼はジノの自宅の地下室に監禁された。
なぜ、殺さなかったか。シャブリ夫人と殺し屋の親玉を殺し、
ジャックを殺して、彼に罪を着せ、それからゆっくりと
お宝捜しをと思っていたらしい。

だが電話を受けたナタリーがタクシーを飛ばしてきて、
埒されるジャックを見たため、尾行してくれた。
おかげで助かったジャック。

ここで、3/4ほどナタリーを信用したジャック。

ミニョとクラシスの仇を取るために最後の仕事をする。
その前にダイヤを取ってくると出かけた。

ジャックの妻の墓参り。ダイヤはやはりジャックが隠していた。
殺しはしていないがお宝は頂戴していたのだ。
ベッドの上にダイヤの入った袋が。

アンダルシア行きの航空券を持って帰ってきたナタリーは
びっくり。ジャックはショルダーバッグに入れておけと。
私に預けていいの?

もし、自分になにかあったら、これを一つずつ売って暮らせ.
だがジノには二度と捕まるなよ。
大丈夫帰って来るからと最後の仕事に出かけた。

待ち伏せするはずのジノが先に待ち伏せていた。
危うしと思いきや、難を逃れ、二発、二人分打ち込んで
仕事は終わった。

ホテルへ帰りノックをするが彼女が出てこない。
やはりやられたかと一瞬思ったジャック。
私が裏切ったと思った?

二人は空港へ急ぎ...
ところが、また、ルクセルが待ち構えていた。

バッグを見せなさい。あああとナタリーは....
すましたジャック。

うれしそうにダイヤの袋を開けるルクセル。
だ.け.ど中味はただの石みたい。
ナタリーはえっと思いつつも、あなたの探してた石よ。

どこに行く?とルクセル・
アンダルシアへ太陽を浴びに。。
失せろ!

アンダルシアのホテル。
”ダイヤはどうなったの”
”あんなもの最初からなかったのさ”

そこへ若い刑事がふたり。
昨日ジノ.ルジェリが殺されましてね。
それは、それは。アリバイを。。。
それだけ聞いて帰った・

”あれだけ?”トナタリー・
”部屋を調べるんだろ”と落ち着いたもの。

案の定部屋はガチャガチャ。
”いつまで続くのよ”
”これで終わりさ!あれがルクセルのやりかたさ”

”さー出発だ”
”どこへ?”
”ブエノスアイレスさ!”
”お金もないのに..”


”俺達は600万フランを持つ大金持ちだぜ!”
”パリの郵便局からブエノスアイレスの郵便局へ
先に送っておいたのさ”
”キスしてジャック!

ーーーー例え愛する女でも最後まで信用してはならないーーーと
    シャンソンの字幕が...

ショーサンクの空に..のラストの痛快感!でーーす。

さて、先に書いた変わったこと。
なんていうのかな。
アンヌは当時アランの最後の恋人と言われた。
彼女はジェーン.バーキンを思わせると言いましたが、
この頃のアンヌは、ジョアンナ.シムカスのほうがむしろ近い。

このナタリーと言う役は偶然出会った中年のアランに
自分の運命を託し、
四面楚歌の現状からの脱出を試みる。
その鮮烈なまでのいさぎよさに
ドロンはふたたび、活気を取り戻し、
新世界への旅立ちを決意する。

これはもしかしてこの当時の現実の二人の関係が
これにちかいものであったかもしれない。

初監督で彼女を相手役に抜擢し、育て、スターにしたドロン。
がその後、彼女は羽ばたき、ハリウッドにまでいき活躍した。

ハリウッドで不成功だったドロンに比べれば、そんなパリローを
どう思ったかは知れないが、

この作品でのドロンの彼女に向ける眼差しは
その若さと、可能性に対して
慈しんでみているような...
もう中年、、主役から遠のいていくのも
そう遠くはないんだと言う思いがどこかにあるようで
自分と変わって、自分を飛び越えていくと言う予感を
感じているような...。

それが作品のラストへと行く段階での彼と彼女の成り行きに
大いに関係しているように思えてならなかった。

そんなことを思った素敵なラストだということを
申し上げたかったのです。

画面で見た限りの判断ですが
アランには一番お似合いのパートナーのように
映るんだけどなあ・彼女のフアッション感覚は私好みだし。
一番いいわよ、やっぱり彼女が....






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